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昭和生まれの「ランチパック」が平成になってから“大化け”した理由

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» 2019年04月05日 05時00分 公開

山崎製パンのランチパックは昭和に生まれた。当初は単なる菓子パンのラインアップの1つにすぎなかったが、平成になって大化けした理由とは?

[昆清徳,ITmedia]


 山崎製パンの「ランチパック」は1年で約4億個を出荷しており、売り上げ額は345億円を誇る看板商品だ(2018年1月〜12月、出荷額ベース)。1984年(昭和59年)に誕生した当初は、菓子パンのラインアップの1つにすぎなかったのに、平成になってから急に大ブレークした。毎年、全国統一商品を約50種類、ご当地限定商品は約80〜90種類発売しており、これまで開発した商品は1600種類以上にもなる。

 ランチパックはなぜこれほどまでに成長したのだろうか。そして、これほどの種類を開発できる開発体制はどのようになっているのだろうか。営業統括本部マーケティング部マーケティング第二課の保田高宏課長に話を聞いた。

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ランチパックのシリーズ

ランチパックの製法

 まず、ランチパックの概要を解説しよう。

 ランチパックに使われている食パンは、同社の主力ブランドである「ダブルソフト」や「ロイヤルブレッド」ではない。ランチパック専用の食パンを、独自の製法でつくっており、きめが細かくしっとりしているのが特徴だ。しっとりしているのには理由がある。食感を良くするだけでなく、具材の水分がパンの生地に染み込むのを防ぐためだ。発売当初は、「ピーナッツ」「青りんご」「小倉」「ヨーグルト」の4種類しかなかったが、パン生地が進化することでさまざまな具材を入れられるようになった。

 ランチパックは空気に触れると、パンの生地が乾燥してすぐパサパサになってしまう。そこで、製造工程では、食パンをスライスしてから包装するまでに約1分40秒しか時間をかけていない。焼きあがった食パンを専用のスライサーでカットし、具材を乗せ、パンをサンドし、パンの耳をカットし、包装するまでをノンストップで行っている。パンをサンドする際には、専用の機械を使い、2枚のパンの生地の端を圧着している。サンドする際には、特別な接着剤や水は使っていない。

 かばんに入れても中身がつぶれにくいように工夫をしている。具体的には、袋の中にエアーを十分に入れて密閉している。

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ロングセラーのピーナッツ


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[昆清徳,ITmedia]


平成になってからランチパックを強化

 84年、ランチパックは食パンを手軽に食べてもらいたいとの思いから開発された。あくまで、菓子パンのラインアップの1つにすぎなかった。

 ランチパックが“強化商品”に昇格したのは06年頃だ。女性の社会進出が進み、食事をとるシーンも多様化してきた。そんな時代のニーズに対応するのに、持ち運びがしやすくて、気軽に食べられるランチパックはぴったりの商品だったのだ。

 強化の一環として、デザインを統一することになった。現在は基本的なパッケージのデザインは統一されているが、それまでのデザインは“自由度”が高かった。例えば、「LUNCHPACK」という英語のロゴのほうが目立ったり、キャラクターの「ランチちゃん」と「パックくん」が登場しなかったりする商品もあった。

 デザインの統一だけでなく、商品単体のテレビCMを流すなど、販促にも力を入れた。山崎製パンは「春のパン祭り」を実施する際には、さまざまなパンを販促の対象にしているが、ランチパックだけのキャンペーンをするのは同社にとって珍しいことだった。

 こういった販促を実施した結果、ランチパックの売り上げは06〜12年にかけて急激に伸びていった。あまりにも売れすぎて、出荷が追い付かないこともあったという。12年以降は売り上げは横ばいの状況が続いている。コンビニなどがさまざまなプライベートブランド(PB)のパンを開発しているなか、かなり健闘しているといえるだろう。

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現在は販売していない過去のランチパック(出所:山崎製パン公式Webサイト)


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現在は販売していない過去のランチパック(出所:山崎製パン公式Webサイト)


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現在は販売していない過去のランチパック(出所:山崎製パン公式Webサイト)


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「東のピーナッツ」「西のたまご」

 これまで1600種類以上が発売されてきたランチパックだが、売れ筋はなんだろうか。保田課長は「ピーナッツが不動の1位で、たまごとツナマヨネーズが2〜3位を争っています」と説明する。西日本ではたまごが最も売れて、東日本ではピーナッツが最も売れている。

 なぜ、ピーナッツが最も売れているのか。保田課長は「発売当時からある商品で、ずっと親しまれているからではないか」と分析する。アレルギーの問題があるため、メーカーにとってピーナッツというのは扱いにくく、製造にあたっては神経を使う具材だという。パンとの相性がよいのはもちろんだが、発売当時、ピーナッツクリームを入れた商品が珍しかったことも、ロングセラーになっている背景にあるのではないかとみている。

 コンビニおにぎりの場合、ローソンではツナマヨが20年間ずっと売り上げ1位を誇っていた。記者が担当者を取材した際、売れる理由について明確な答えというのはなく、いくつかの要因から推測していたのが印象的だった。消費者の嗜好を読み取るのはそう簡単ではないようだ。

さまざまなご当地パン

 ランチパックは開発体制もユニークだ。山崎製パンの全国26工場のうち、ランチパックを製造しているのは20工場だ。工場ごとにカバーするエリアがあり、担当地域にランチパックを供給している。ピーナッツのような全国どこでも売れる商品は多くの工場で製造しているが、エリア限定の商品は現地の工場で開発・製造している。

 例えば、福岡工場(福岡県古賀市)では九州エリア限定の「福岡県産あまおう苺ジャム&ホイップ」を製造している。これは、福岡県産あまおうの苺ジャムとホイップクリームをサンドした商品で、全国区で販売されている「苺ジャム&マーガリン」とは違った味わいがある。“ご当地”パンとしてはロングランの商品で、10年近く九州エリアで売れ続けている。

 ご当地パンが全国で発売されることもある。例えば、武蔵野工場(東京都東久留米市)が開発した「桔梗信玄餅風」がある。これは、お餅(求肥)ときな粉クリーム・黒蜜クリームをサンドしたもので、関東エリアで好評だったので、全国展開したことがある。

 このように、ご当地パンを期間限定で全国展開することで、売り場に変化を出し、お客を飽きさせないように工夫している。

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九州エリア限定のランチパック(左)


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工場間で競う開発体制

 多種多様なご当地パンが開発できる背景には何があるのだろうか。

 実は、山崎製パンの本社は「各工場が開発する商品に対して、基本的に口を挟まない」(保田課長)という方針を掲げている。商品名から具材の選定まで、各工場の裁量が大きいのだ。もちろん、完全な“放任主義”ではない。ブランドイメージの観点から、パッケージのデザインは本社が主導する。ごくまれに商品名や具材に対して本社から修正を要請することはある。しかし、開発現場のモチベーションを重視する観点から、なるべく現場の意見を尊重しているという。また、工場ごとの競争心を刺激して、売り上げを競わせるという効果も狙っている。

 ご当地パンの開発には、別のメリットもある。地域貢献の各種施策の受け皿としての役割を果たしている。これまで、地元企業、行政、スポーツチーム、大学などとのコラボ商品を開発してきた実績がある。また、地元産の食材を使うことで、独自色を出すこともできる。これも、なんでも相性のよい食パンを使っているからこそ実現できることだ。

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さまざまなご当地ランチパック

進化を続けるランチパック

 パッケージや具材のフォーマットが固まっているかのようにみえるランチパックだが、新しい取り組みもしている。12年7月から、2種類ではなく4種類のスティックタイプのパンが入ったシリーズを発売している。これは、1度にさまざまな味を少しずつ味わいたいというニーズに応える商品だ。また、08年1月からは全粒粉入りパンのシリーズを展開している。これは、健康を意識する女性がターゲットで、パッケージデザインも変えている。

 消費者の食の嗜好が多様化し、コンビニなどが独自のパンを開発するなか、競争環境は厳しさを増している。昭和に生まれ、平成に飛躍したランチパックは令和の時代をどのように戦っていくのだろうか。

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営業統括本部マーケティング部マーケティング第二課の保田高宏課長


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都内にあるランチパックショップ(提供:山崎製パン)


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Source: IT総合情報

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